通書の神殺を読んでみよう

　まずは、歴史的に古典的な部類から入ることにして、現代版の通書の解説ではなく、清代に制定されたものをまとめて解説し、ひとまず、時間と関係するものを中心に解説します。

　1，日本と中国の決定的な縁起観の違い

　まず、中国は官の思想＝科挙があり、日本は、ダメといえない文化があり、締め上げに耐えて、国を栄えさせるという思想が根底にあります。
　洛書の来源も、1・6・8はそれぞれ、地位、権力、財産、そして、共通して人物配置も、「男の卦」であり、男性上位の社会体制であり、秩序・統制の中に耐えて、国を栄えさせるために、暦を制定する、そして用途に応じて使い分ける、これが、本来の意味の日時の縁起観です。
　反対に、日本は、冒頭のダメと言えない文化は、既に、太歳において顕著であり、意味をすり替えることで、覚えやすくする、気分がよくなるといった、本来の意味から逸脱することは、そもそも、日本の論点にはありません。
　それでは、通書の神殺を読んでいきましょう。

　2，通書の神殺-時干支編・吉神編

　条件に置くのは、通書の中で、時間が絡むものだけ、ということです。
　日の神殺は、数多くあり、まず、数を限定します。

　表1：三貴人表

　天乙貴人：象意：百事に大吉。

　福星貴人：象意：子孫・後継者に関することで百事に吉。

　天官貴人：象意：地位と権力に関する事で百事に吉。

　表1-1：天乙貴人表　

日干 時干支
甲・戊・庚日 丑・未
乙・己日 子・申
辛日 寅・午
丙・丁日 酉・亥
壬・癸日 卯・巳

　表1-2：福星貴人表　

日干 時干支
甲 寅
乙 丑・亥
丙 子・戌
丁 酉
戊 申
己 未
庚 午
辛 巳
壬 辰
癸 卯

　表1−3：天官貴人表　

日干 時干支
甲 酉
乙 申
丙 子
丁 亥
戊 卯
己 寅
庚 午
辛 巳
壬 未
癸 戌

　上記に加え、以下の通りです。

　表2：その他の吉神表

名前 用途 注釈 順行法(先頭は寅)
喜神 百事吉 禁止事項なし 申を起点に逆行し、
申・午・辰・寅・子・戌。
青龍 百事吉 凶神の消失・軽減あり 寅を起点に順行し、
子・寅・辰・午・戌。
宝光 造作・祈願、葬式・埋葬吉 亥を起点に順行し、
卯・巳・未・酉・亥。
金櫃(キ) 造作・祈願、葬式・埋葬吉 辰を起点に順行し、
辰・午・申・戌・子。
司命 ガスレンジ掃除
修理・造作吉		 寅時〜申時吉、酉時〜丑時は凶 戌を起点に順行し、
戌・子・寅・辰・午・申。
玉堂 造作・祈願、倉庫開き吉 未を起点に順行し、
未・酉・亥・丑・卯・巳
明堂 造作・祈願
セールス・ビジネス
結婚式吉		 丑を起点に順行し、
丑・卯・巳・未・酉・亥。
日馬 上官・セールス・ビジネス
求財・移転吉。		 申を起点に、以下の法則で
申・巳・寅・亥の順で逆行。

　特に注釈がない場合、凶神が来れば不可。　
　次は、凶神編です。

3、通書の神殺・時干支・凶神編　

　次に、凶神を掲載します。

　凶神一覧表

名前 用途 注釈 順行法
日破 使用不可、解除なし。 相冲は解除なし。 日支と時支が冲
して
使用不可。
天牢 裁判・上官・セールス・ビジネスは凶 吉神が来れば消失。 申を起点に、
戌・子・寅・辰・午・申。
天刑 裁判・上官・セールス・ビジネスは凶 吉神が来れば消失。 寅を起点に、
寅・辰・午・申・戌・子。
日刑 裁判・上官・セールス・ビジネスは凶 吉神が来れば消失。 子日卯時、丑日戌時
寅日巳時、卯日子時、
辰日辰時、巳日寅時、
午日午時、未日丑時、
申日酉時、酉日酉時
戌日未時、亥日亥時
日建 水にまつわることは凶。 吉神が来れば消失。 日支と同じ時支。
勾陳 裁判・上官・セールス・ビジネスは凶 記載なし。 酉を起点に、
酉・亥・丑・卯・巳・未。
朱雀 建築・移動・裁判は凶。 吉神が来れば消失。 卯を起点に、
卯・巳・未・酉・亥・丑。
元武 上官・セールス・ビジネスは凶 吉神が来れば消失。 酉を起点に、
酉・亥・丑・卯・巳・未。
白虎 先祖行事、祈願は可能。
残りは不可。		 吉神が来れば消失。 午を起点に、
午・申・戌・子・寅・辰。
日害 上官・セールス・ビジネスは凶 吉神が来れば消失。 子日未時、丑日午時、寅日巳時
卯日辰時、辰日卯時、巳日寅時
午日丑時、未日子時、申日亥時
酉日戌時、戌日酉時、亥日申時
旬中空亡 棺材の切り出し、埋葬関連
及び葬式は使用可能。		 解除なし。 甲子日〜癸酉日は、戌・亥時。
甲戌日〜癸未日は、申・酉時。
甲申日〜癸巳日は、午・未時。
甲午日〜癸卯日は、辰・巳時。
甲辰日〜癸丑日は、寅・卯時。
甲寅日〜癸亥日は、子・丑時。
截路空亡 百事不可。 解除なし。 壬・癸時にあり、毎干支、
壬・癸の天干が巡る時干支。

4，結論　

　今回は、乾隆通書のものを翻訳しましたが、一応、ここで結論となるものがありますので、以下に集約します。

　1、最初の通書に配列されていた、吉凶神はこの方法で配列されている。
　2、条件付きの場合がかなり厳しい事が多く、使用条件に適用しない限りは使用不可。
　3、消失有りの凶神は8種類。
　4、配列表は乾隆通書の方式に準拠。
　5、正しい知識の普及と理解は大変な手続きが必要。