財運＝人を介しての流れ、と解することができます。
現在の日本は不況であることも手伝い、「風水で金運アップ」ということを目指す方が多いようです。
しかし、私の調べてみた限りでは、一般書に掲載されていて、有力な方法と呼べるのが、風水魚諸説と財方の運気を上げる方法の2種類だけでした。
そこで、今回は原書の観点から、「お金」を考察してみたいと思います。
ただ、神殺が多く登場するので、一般の人には分かりにくい文章になるかもしれません。
この時代の財は金銭に限らず、土地や家畜も「財産」とみなされており、一概に「お金だけ」という今のような、固定的な意味合いを持っているものではありません。
家畜から金銭に至るまで、「金銭だけ」に特化されていない時代の理論であることを、ご理解の上、読んで頂ければ幸いです。
「滾盤珠」曰く、求財にあたって天財方から修方し、月財を合わせ、年月日時の財星を重視します。
「安宅論」曰く、金匱、帑星の方位に当たる方位を合わせ、択日は金匱日選びます。
「照宅玉鏡」曰く、貧乏人は、天財、月財、年財、金匱、天月徳、青龍から招財する日を選んで修方すれば、求財できます。
「青江子」曰く(清代の風水師・魏青江をさす)、全ての修方と求財は、天富、月財、三倉、三徳と運財星を用い、本命財星と同様にします。
禄馬恩躍を本命卦の財星に合わせ、横財(偏財)を得ます。
もし、凶運を避ける為に使うなら、栄惑九紫をから修方し、もし、旺畜の場合は、井(セイ)、尾、箕、觜の四殺は六畜の卦気に合わせれば、旺畜となります。
諸家は奇門遁甲だけを重視し、即ち、六白乾金開門、一白坎水休門、八白艮土、景門は九紫離火、宮剋星の関係は、発財し、星剋宮は財が去ります。宮生星は財を損する、星生宮利益を得ます。
宮比和星は利益順調、応期を知りたいならば、生宮卦気を定めます。
発財の応期を知りたいなら、剋宮卦気から知ります。
出稼ぎの求財は、宮卦は、旺時に乗るのが宜しく、寿星より、生宮卦の動卦を用いれば、旺気の財運が巡り、乾卦と震卦が動けば、大きな収穫があり、坤卦・艮卦が動けば、主に静で動けば障害があります。
巽卦の場合は、船がいいです。
離卦は陸上がいいです。
坎卦は失財を防ぎ、兌卦は争いを恐れます。
もし、宮卦に逢い、寿星に逢えば、寿星のある方位を修方をすれば、財運吉。
年月日時、六白は乾・兌・坤・艮、または、太歳、歳破、犯太歳等の凶神は、本命卦を剋し、奇門遁甲は、宮位を剋しても、財運の前に凶があります。
前半部分
原書の解釈に徹している為に、現代の風水には見慣れないものが多く見受けられ、一読する限りでは、「理解しにくい」というのが、率直なところではないでしょうか？
そこで注釈を付けることにします。
まず、家畜・財産・土地は全て「財」という解釈で、上記の通り、「お金」を「財運」とする考えではなく、「物質的な豊かさ」を求める＝求富と解釈するのが妥当です。
その為に、旺畜＝財が増える、とも解釈されました。
財星とは、天財、月財、年財、金匱、天月徳、青龍であり、これらが入る方位を修方することで財を得るという理論です。
ただ、陽宅集成に神殺の配置と算出法は記載されていませんので、原文を読む限り、各種暦法理論は「知っている」という前提で書かれているのは明らかです。
宮卦は後天八卦で、後天八卦(坎宮を北とする考え方に基づく八方位法)と紫白星の関係、神殺の配置を知ることで、判断することになります。
生宮卦、星剋宮という考えは、神殺と紫白星です。
後半部分
出稼ぎの求財は三元九運の旺と一致することがよく、その時に用いるのが大吉です。
各卦の現代解釈は以下の通りです。
| 坎卦 | 流通・販売・漁業 | 乾卦 | 保険・証券類・株類・貴金属類 |
| 震卦 | 音声・声関連 | 兌卦 | 音声・報道 |
| 巽卦 | 通信・報道 | 艮卦 | 建設関連・不動産関連 |
| 離卦 | 運輸・広告・出版 | 坤卦 | 農業・収穫・畜産 |
八卦象意に基づく限り、基本的な部分は理解できると思います。
修方に基づく、吉凶は現代解釈は一覧によるものです。
また、太歳に関する解釈は、坐山・宅向に入ることを恐れる、と書かれています。
文中、奇門遁甲が出ますが、奇門遁甲を用いて修理する習慣が清代の当時からあったことを裏付ける記述です。
陽宅集成の中で既に、坐山と太歳が一致することを恐れる記述がみられる為、当時から、当太歳・犯太歳を恐れていたことが、うかがえます。
ひとまず、一番簡単な、修方求富法を訳しました。
でも、解説や注釈がないので、大変ではあります。
清代は、農民と風水術がつながり、財産に、家畜が含まれていたことがうかがえます。
現代では、「お金」だけをテーマにして話が進みますが、こうした違いを見ていくと、時代とともに「財」や「金運」が多様化し、変化を遂げていることがうかがえます。
清・姚建鑾(著)李祥(注釈)陽宅集成・北京理工大学